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タイトル | 銀盤カレイドスコープ vol.8、Vol.9 |
| 著者 | 海原零 | |
| イラスト | 鈴平ひろ | |
| 出版 | スーパーダッシュ | |
| 発売日 | 2006年11月 |
| 執筆者:jade | 評価:B→S |
| 8,9巻同時刊行。 7巻から続く“桜野タズサ伝説の章”が──銀盤カレイドスコープがついに完結! 7巻ラストで“打倒リア”を宣言したタズサ。 今度はリアに直接自身の決意を伝えるも、孤高の女王の逆鱗に触れてしまう。 リアの豹変に戸惑いながらも、子供たちとの約束を果たすため、マイヤが示した一縷の勝機を信じて数々の特訓に耐え、ついに迎えたバンクーバー五輪。 直前練習で受けたリアによるプレッシャーを乗り越えて、ショートプログラムで2位の好位置に付けたタズサ。 望んでいた運には恵まれず、一抹の不安を抱えながらも、プレッシャーを乗り越えたことによって心技体ともに絶好調でフリーに臨む─── ここで8巻の幕は閉じ、物語はいよいよ最終巻へ。 うん、ここまでは予想通りの展開。 あとはスポーツ物にありがちなご都合主義の展開でリアを倒してハッピーエンド。 …になると思っていたんですが、まさかあんな展開が待っているとは… 元々スーパーダッシュ小説新人賞応募作で1,2巻だけで完結してる作品だっただけに、3巻以降(ヨーコを主役にした4巻は別)は蛇足と言う声も多く聞かれ(私もそう思っていましたが)、このラストを見せられてはその発言は撤回せざるを得ませんね。 1巻の頃からテーマ(ウインタースポーツを取り巻く五輪至上主義、ひいてはメダル至上主義へのアンチテーゼ)も一貫してるし、この物語を締めくくるには最高のラストだったと思います。 …それでも個人的には2巻で終わらせた方が物語としては綺麗だったと思いますけど。 相変わらずスケーティング描写は天才的で、まるで目の前で競技を見ているような錯覚を覚えるほど。 特に五輪での至藤、世界選手権でのガブリー、タズサの演技は、読んでいて鳥肌が立ち、熱い涙がこみ上げ、深夜にもかかわらず叫び出したい衝動に駆られるほどの出来でした。 最後の最後までこれだけ素晴らしい描写を見せられた今なら、自信を持って言えます。 この作品を上回るフィギュアスケート小説は後にも先にも絶対に存在しない───と。 反面、それ以外のシーン──特に日常シーンの描写はあまりにも未熟。 完全に上滑りしたギャグ、安易なパロディ、読者を置いてきぼりにする妄想など、さして意味の無い描写に文章を割いているため、試合以外のシーンのテンポが非常に悪く、読んでいて退屈に感じることもしばしば。 無駄な文章を削れば少なくとも2冊で最終章はまとめられたんじゃないかな? この欠点さえ克服できていれば、もう一段階上の作品になったのになぁ… あとタズサの恋愛面についてですが、これまで幽霊→友達の思い人→レズ→男装の麗人にときめいてきたタズサは、今回ショタに走ります。 … 12歳は!12歳は犯罪だよ!?Σ(゜Д゜;≡;゜д゜) 逆光源氏計画発動なのか!?(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル …と、思わず頭を抱えました。 今のところは恋愛感情に発展してませんが、それにしたってサーシャはないだろ(苦笑 オスカーの登場に動揺するし、あっちへふらふら、こっちへふらふらしすぎです。 でも結局、タズサが気が多く見えるのは単に恋愛経験が少ないのが要因なんですよね。 何せ小さい頃からスケート一筋で来て、唯一の趣味もアニメを見ることだし(苦笑 でも心の底ではやっぱりピートを一番に想っていたことがわかって一安心。 最後の奇跡はタズサの中に残っていたピートの残滓が後押ししたものだと私は信じています。 評価に関しては個人的な心情も若干入ってます(笑 ツッコミどころや技術的に未熟な部分は多々あり、誰もが名作と認めるだけの完成度はないけれど、スケーティング描写やキャラが抱く想い、フィギュアへの情熱など、欠点を補って余りうるだけの魅力に満ちた作品でした。 今まで読んだどの作品よりも、この作品が大好きです。 |
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